背景
組込みシステムの開発現場では、約8.8万人とも言われる組込み技術者不足*を背景に、さまざまな問題が発生しています。
特に開発業務を外部委託するにあたっては、技術力を統一的・客観的に測る指標がなく、結果として工数や開発されたコードの量で算出する、といったことが行われているようです。
しかし、これでは高い技術力があっても正当な評価とその対価が得られず、技術者のモチベーションもあがらない、などの問題が発生しています。
このような問題を解決するため、T-Engineフォーラムでは「トロン技術者認定試験」を実施しています。
この試験は、T-KernelやμITRONなどの組込みリアルタイムOSを使いこなす技術者の技術水準を客観的に測定し、高い技術力をもつ技術者のポータブルな資格(客観的な尺度)を確立することを目指しています。
また、そうした技術者を採用する企業に指標を示すほか、ソフト開発の受発注時におけるコスト計算や品質管理にもご利用いただくことを通じて、組込みシステム業界全体の活性化につなげることを目的としています。
(*)2008年に経済産業省とIPAが発表した「2008年版組込みソフトウェア産業実態調査報告書」によれば、現在日本全体で組込みソフトウェアに従事している技術者の数は約24.2万人であり、なお約8.8万人程度の技術者が不足していると報告されています。
目的
- 組込みリアルタイムソフトウェア技術者に目標を示し、モチベーションを与えることで、その技術の向上に資すること。
- 組込みリアルタイムシステムの開発を手がける企業等が開発委託などを行う際に、技術水準を測るための客観的な評価の尺度を提供すること。
- 組込みリアルタイムソフトウェア技術者の採用を行う際に役立つ客観的な評価の尺度を提供し、これを通じて組込みリアルタイムソフトウェア技術者の社会的地位の確立を図ること。
試験のメリット
技術者にとって
- 自らの技術力を測る尺度にできます。
- 転職する際に、ポータブルな資格(客観的な尺度)として利用できます。
企業にとって
- 社員に受験を促し、技術力を向上させることに対するモチベーションを高めることができます。
- 社員の技術力を正確に把握することで、社内のプロジェクト編成に役立てることができます。
- 開発業務をアウトソーシングする際に、委託先企業の技術水準の尺度とすることができます。
- 技術者を雇用するときに、技術者のスキルを同じ尺度で知ることができます。
試験要項(概要)
- 実施主体
- 主催:T-Engineフォーラム、協力:社団法人トロン協会
- 試験対象者
- どなたでも受験できます。
特に、T-KernelやμITRONなど、トロン仕様OSを利用している、または利用しようとしている各企業における組込みリアルタイムシステム開発技術者を想定しています。 - 試験時間
- 90分
- 満点
- 100点(結果は合否判定ではなく、スコアの提示となります。)
- 試験方法
- マークシート方式(将来的にCBT方式でも実施予定)
- 言語
- 日本語(海外での試験実施に向けて、英語・中国語・韓国語等に対応予定)
- 受験料(税込み)
- 15,750円(一般)
- 12,600円(T-Engineフォーラム会員、トロン協会会員)
- なお、紙に印刷された受験結果をご希望の場合は、一般16,800円、会員13,650円で受け付けます。
- 12,600円(T-Engineフォーラム会員、トロン協会会員)
- 試験結果
- トロン技術者認定試験のwebサイトに用意されている受験者の個人ページ「My Profile」で成績をお知らせします。
第三者に受験結果を提示する場合には、紙に印刷された受験結果が必要になる場合がありますが、改ざんを防止するため、事務局から直接受験結果の提示先へお送りしています(有償)。
ご希望の方は、受験の際、または受験後に専用webサイトからお申込みください。 - 再受験について
- 本試験は、何回でも受験することが可能です。
出題方法
- 第1区分 組込みリアルタイムシステム基礎知識
- 出題数: 20問
- 点数: 60点(各問3点)
- 内容: 組込みリアルタイムシステムの基礎知識を問う
- 点数: 60点(各問3点)
- 第2区分 ソフトウェア開発知識
- 出題数: 5問
- 点数: 40点(各問8点)
- 内容: ソフトウェア開発知識を中心に問う
- 点数: 40点(各問8点)
出題領域
| 組込みリアルタイムの基礎 | 組込みシステムの特徴、リアルタイムシステムの特徴、タスク管理基礎、タスクスケジューリングの基礎、割込み処理基礎、同期・通信基礎、記憶管理基礎、時間管理基礎、RTOS基礎、HWアーキテクチャ基礎、SWアーキテクチャ基礎、他 |
| 組込みソフトウェア開発の基礎 | 開発環境基礎、組込み開発基礎、プログラミング言語基礎、データ構造とアルゴリズム基礎、デバッグ基礎概念、ソフトウェア工学基礎、信頼性基礎・テスト・検証手法、他 |
| トロンアーキテクチャの基本概念 | 「オープン」の概念、ゆるやかな標準化、T-Engine, T-Kernelの意義、サービスコールやエラーコードのネーミングコンベンション、他 |
| ハードウェア分野 | T-Engine、μT-Engine、他 |
| RTOS分野 (ITRON、T-Kernel、μT-Kernel) |
トロン仕様の概念、タスクモデル・タスク管理機能、同期・通信機能、時間管理機能、メモリプール管理機能、アドレス管理機能、省電力機能、デバイス管理機能、デバッグサポート機能、標準デバイスドライバ、個別デバイスドライバ、他 |
| ミドルウェア (T-Kernel Standard Extension、TCP/IP、他) |
コンピュータネットワークの基礎概念、ファイルの基礎概念、プロセスの基礎概念、T-Kernel Standard Extension (TKSE)の概略、TKSEプロセスモデル、TKSE同期・通信機能、TKSEファイル管理、TKSEイベント管理、TKSE応用、ITRON TCP/IP API仕様、他 |
| マルチプロセッサ | マルチプロセッサ・マルチコア技術の概略、AMP T-Kernel、SMP T-Kernel、他 |
| その他 | ソフトウェアライセンス、法令、ビジネスモデル、組込みリアルタイム分野の教育トレーニング、標準化、他 |
問題の作成手順と品質保証
トロン技術者認定試験では、組込リアルタイムシステムを専門とする大学教員や、産業界の高度な技術者等から構成される「試験問題作成委員会」と、「試験問題評価委員会」を組織し、試験問題の作成とチェックを厳正に行い、問題の高い品質を保っています。