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横河ディジタルコンピュータ

武井 千春(たけい ちはる)
横河ディジタルコンピュータ株式会社


はじめに

T-Engineプロジェクトも参加企業、マスコミなどの紹介もますます増え、大きなステップを踏み出しています。横河ディジタルコンピュータもARMアーキテクチャのマイクロコンピュータ(以下ARMマイコンと省略)を中心に、(1)T-Engineボードの開発・提供、(2)T-Engineのデバッグ環境の提供、(3)T-Kernel上のミドルウェアの提供、の三位一体の取り組みでT-Engineを強力に推進しております。

ユビキタス・コンピューティングとARM

図1 ARM720を採用したT-Engineの第1号機

ご承知のようにT-Engineの大きな目標のひとつに「ユビキタス・コンピューティングを実現するための共通開発プラットフォームの提供」というものがあります。いつでもどこでも、を鍵とするユビキタスという点を考えると、現在、数多くの携帯電話、PDAに採用されているARMマイコンを抜きにしては語れません。低消費電力による長時間バッテリ駆動、32ビットRISCアーキテクチャによる高性能、ARM7、ARM9、ARM10へとスケーラブルなシリーズ展開、ワールドワイドな業界標準チップであることによる各種ツール、ミドルウェア、ソフト・ハード資産の豊富さ、などがARMマイコンの特徴を表す言葉になります。
したがって、日立製作所、三菱電機、日本電気の各社がそれぞれのマイコンを元にT-Engineを推進していく中で、やはりARMマイコンもT-Engineの強力なプレイヤーとして参画すべきであると横河ディジタルコンピュータ(以下YDC)は考えました。その場合、ARM社と長年の協力関係を構築してきて、なおかつ日本のすべてのARMライセンシの方々とニュートラルな協力関係を持っている横河ディジタルコンピュータが、ARMマイコンの推進役となってこの参画の一助を担えれば、と坂村プロジェクトリーダーにもご相談したところ、どしどしやりなさいとご快諾いただいたものです。
YDCは、ICE・フラッシュマイコンプログラマを中心にした開発環境の提供、ハード・ファームを中心にした、組込みシステムの受託開発をそのビジネスとして推進しており、おかげさまで数多くの組込みシステムの開発者の皆様から製品・技術をご利用いただいています。
T-Engineへの取り組みに際しては、この経験、能力を生かし、
・ ARM7、ARM9シリーズを核に、T-Engineハードウェアの設計・製造・提供
・ T-EngineのICE、およびモニタ環境でのすべてのT-Engine用の開発環境の提供
・ T-Kernel上での各種ミドルウェアの提供、ポーティングなどの開発そのものの受託
の3種類の領域で、T-Engineを利用される皆様のお役に立っていくことを目指しています。
それでは、順番に当社の取り組み内容を説明していきます。

図2 ARM720を採用したT-Engineのブロック図

T-Engineのハードウェアの提供

ARM T-EngineはARMコアの特長である高機能、低消費電力が必要とされる比較的高度な情報処理機能やユーザーインタフェースを持つ機器の開発プラットホームとして活用されます。
主な対象機器として、高機能携帯電話、PDA、電子ブック、電子チケット、情報家電、車載情報機器があります。
図1はARMマイコンのT-Engineの第1号機でARM720を採用したものです。ARMの特徴である低消費電力を生かし、PDAや携帯機器向けの開発プラットフォームとして最適な機能が盛り込まれています。
図2はその内部構成ブロックを示しています。本T-Engineを利用することにより、PDA、電子ブック、携帯電話などの製品開発が迅速に行え、また、最終製品に非常に近い形で動作を評価でき、デモンストレーションも行うことができます。
内部の主要な仕様は以下のようになります。
・ CPU:ARM720ASSP
・ シリアルI/O 384Kbps
・ PCMCIA TypeII 1スロット
・ USB Host TypeA コネクタ 1チャンネル
・ eTRONカードI/F(SIMカードコネクタ)
・ 液晶表示パネルI/F
・ タッチパネルI/F
・サウンドCODEC 入力1チャンネル/出力2チャンネル
・拡張バスI/F
・カレンダークロック
YDCは、引き続き複数のARMライセンシの方々とT-Engineへの参加、ボードの共同開発の提案を続けており、ARM9シリーズもARM920を先頭に提供できるよう準備しております。
現在のところ提供時期は、
・ ARM720:2002年10月
・ ARM920:2002年12月
・ その他ARM:計画中
の予定です。

T-Engine開発環境サポート計画

T-Engineが提供されて、その上で開発を行う場合には、ICE,モニタを含め優れた開発環境が提供されなければ、スーパープラットフォームとは言えません。横河ディジタルコンピュータでは次の点がキーポイントになると考えています。

●T-Kernel〜タスクデバックに対応

ハードウェア、カーネル、アプリケーションを含めた、システム統合デバックのキーワードは?
【資源表示機能】
OSに保持している資源の情報を取得し表示する機能です(図3左)。
【システムコールトレース機能】
システム介入機能用フックルーチンをユーザのアプリケーションに組み込み、ICEのイベント機能とトレース機能を使用してシステムコールの発行やタスクディスパッチの履歴をグラフィカルに表示します(図3右上下)。
【資源表示ウィンドウ】
選択された資源についての詳細情報を表示します(図3左中)。
T-Kernel上のタスクデバッグに対応するためにはICE側からT-Kernelの情報を取り出すためのデバッグデーモンが必要で、YDCが参加するカーネルWGで標準化を策定中です(図4)。

図3 システム統合デバッグの画面例

図4 T-Kernelの情報を取り出すICEデバッグデーモン

●デバッグ拡張ボード経由によるICEデバッグ〜各社T-Engineボードに対応

システム立ち上げ時のハードウェアが不安定な状態でのデバッグには誰しも悩まされるもので、思わぬ時間を食ったりするのもこのフェーズです。ICEデバッグを使えば、Serial、Ethernetが不安定な状態でも、即デバックが開始できます(図5)。

図5 ICEデバッグ

モニタデバッガソリューション

T-Engineに標準で実装される、T-MonitorをWindows98/NT4.0/2000/XPで動作するMDI対応デバッガmicroViEW-Mを提供いたします。
microViEW-Mは、弊社製品advicePLUS(ICE)用microVIEW-PLUS(デバッガ)で実績のある操作性を踏襲したモニタデバッガです。
・ ユーザーのプログラムソース(C/C++)表示機能(コメント行の色指定)
・ 各種シンボル表示(ツリーでC++対応クラス表示、各種設定ウィンドウへドロップ可能)
・ インスペクト機能(ソース上でマウスにより変数値表示機能)
・変数アクセス機能(編集機能、ウォッチ機能)
・ メモリ編集機能(スクリーンエディタ感覚で操作可能、複数同時操作可能)
・ レジスタ編集機能(拡張レジスタのツリー表示、注目レジスタのユーザー登録機能)
・ ブレーク設定(ソース上で、ブレーク行設定)
・ TEP実行(機械語、行単位、関数単位でのSTEP可能)
・ プロジェクト管理(デバッグ環境の保存、再現機能)
等、高機能の操作性を提供いたします。
対応CPUは、ARM、SH7727(予定)で、その他も計画中です。

統合化開発環境

microViEW-STUDIOは、T-Engineを使用した開発環境で、ドライバ開発や、アプリケーションの評価で使用する各種開発ツールのデバッガ(microVIEW-PLUS、microViEW-M)がソース作成から、コンパイル、リンクをシームレスに操作ができて、ソース管理も行える統合化開発環境です(図6)。
Microsoft社のVisualStudio Ver6.0をベースにGNU言語に対応を行っております。
対応デバッガはmicroVIEW-PLUS、microViEW-Mです。

図6 microViEW-STUDIO

ミドルウェア・開発受託の提供

YDCでは、このようなT-Engineのハードウェア、開発環境の提供に加え、YDCの得意分野であるネットワーク環境、ワイヤレス通信などの分野のドライバ、ミドルウェアを提供していきます。自社の開発したハードウェアはもとより、T-Engineの各社のボードも同じようにサポートしていきます。
また、T-Engineを使った開発そのものの全部、または一部を委託したいというご要望にもお応えしていきます。長年のICE、組込みシステムで培った技術力を生かして的確な開発をお約束します。

*  *  *

このように、横河ディジタルコンピュータではボードのみならず、開発環境、開発委託と、総合的にT-Engineを推進し、お客様に最適のT-Engine環境を提供できるよう目指しています。新しいスーパー開発プラットフォームT-EngineをARMを軸に検討されようとするなら、ぜひ横河ディジタルコンピュータのT-Engineをご検討ください。あわせて、共通デバッグ環境もご利用ください。

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